abeyurika’s blog

統合失調症の彼との生活

よくわからない関係

会社から帰って夕飯の支度している時にけんちゃんが

「ゆりかを見てるとやっぱり、思い出しちゃう」

と言った。

けんちゃんが言う『自分(けん)以外の男』のことだろうと思う。

そして、

「離れたほうがいいと思う」

と、けんちゃんが言った。

 

わたしも、それが良いんだと思う。

でもその決断はどうしても、悲しくてさみしくて、涙が次から次にあふれ出す。

けんちゃんと過ごす時間が本当に好きだから、楽しいから、幸せだから

でも、それを手放さないと、お互いに苦しむ時間がどんどん増えていく

心が壊れてく

そんなの、良いと思えない。

だから、離れるんだ。

 

そう思って、また夕飯の支度を再開する。

 

けんちゃんの言葉は次第に曖昧になっていく。

「どうしたらいいと思う?」

と聞いてきた。

「離れるしか無いって、さっきそう言ってたよ」

そう言うと

「まぁ…そうなんだけど…」

 

「たとえば、もっと ざっくばらんに話すことはできないの?」

「ざっくばらんに話すって、何を?」

「……………ざっくばらんってどういう意味だっけ」

わたしはインターネットで調べる

「『ざっくばらん」とは、人の発言や行動が素直で裏表がない様を表す言葉で、心のなかで感じたことをありのままに伝えたり、行動したりすることに対して使われる言葉です。 また、ポジティブな意味あいで「遠慮がない」という意味をもつこともあります』……………だってさ」

「……………」

「だからね、けんちゃん。それって結局わたしのことを疑ってるってことでしょ?わたしは、ざっくばらんに話すも何も、裏表なんてそもそも無いよ。」

「……そうだな」

もう今では、けんちゃんの肯定の返事も怖い。

曲解して納得してることが多すぎるから。

けんちゃんは、どうしても自分の立てた仮説が事実でなくてはいけないっていう風にする為に、こうやって色んな言い方でわたしに質問してくる。

このループはお互いの心が壊れてくだけなので、抜け出さないといけない。

「わたしは、もうこのやりとりをしたくない。わたしが言ってないこと、やってないこと、思ってないことを、言った、やった、思ったと決めつけられたくない。

このやりとりが、彼氏と彼女っていう関係性のせいなら、もう別れよう。友達になろう。」

「友達になったら…ゆりかに彼氏ができてまうやん…」

「信じられない・どうして信じてくれないの?っていう、このやりとりをしたくない。そればっかり繰り返す毎日が嫌だ。そこから抜け出すにはどうすればいいの?別れる以外に方法あるの?けんちゃんは、ゆりかのこと信じてくれるの?」

「……………」

「別れよう。離れよう。友達になろう。友達になって、一緒にごはん食べたり、お酒のんだり、ライブ見に行ったりしよう」

「……………」

 

そしてまた数分後、けんちゃんが言い出す。

「ねぇ、もう別れたの?もう戻れんの?一緒に暮らせんの?」

「もう友達になろう」

「やだ。」

「……………」

「やーだー。やだ」

「今の状況、良いと思う?けんちゃん、ゆりかのこと疑ったりすることばっか考えて仕事も見つけられへんやん。ゆりかだって、仕事に行けなくなった日何回もあったでしょ?もう、やだもん。これからどうなるの?何にもいいことないじゃん。だったらこの状況を打破しないと。それには関係性や環境をガラッと変えるのがいいと思うんだよ。」

「そうだな。仕事しないとな」

 

シバの帰り道、またやりとりが始まる。

「壊れたぁ。なんかもう脳が壊れた。

ゆりかー。ゆりか、帰ってきてー」

「………………」

「ほんとに終わったな。もう戻らんの?」

「友達になろう。それが良いよ」

「……」

「病院行くときはついてくから」

「病院は本当に行かないとな」

病院に行ってくれるって聞くと、またわたしは期待してしまう。けんちゃんが、わたしの言葉を、そのまま素直に受け止めてくれる日が来るんじゃないかって。

でも、それには時間がかかる。

もし統合失調症だったら病院には通わないと行けない。どんなふうに症状が変わるのかも、治療してみないとわからない。良い先生に会えるという保証もない。

……………やっぱり、『不毛なやりとりをしない為に』友達になったほうがいいと思う。

そうぐるぐる考えてると、悩み始める。

不毛なやりとりをしなければ、一緒にいられるんじゃないか?とか、お互いにある程度のことは我慢すればいいんじゃないか、とか……………

 

わたしも考えなくちゃいけない。

自分にとってどの関係が、どの選択が、いちばん良いのかを。